椿宿の辺りに

2021年7月24日

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「椿宿の辺りに」梨木香歩 朝日新聞出版

 

すごく面白くてぐんぐん読んでいたのだが、最終場面でちょっと立ち止まってしまった。そこのところを書きたいのだが、まだ読んでいない人にはネタバレになるので、困ったなあ、と思っている。
 
しかも。実は、以前の梨木さんの著作の続編というか、繋がりがあるということが最終的にわかってくるのだが、その前作を、たぶん私は読んだと思うのに、あんまり覚えていないのだ。このブログに記録がないところを見ると、十年以上は昔らしい。ただ、題名を見て、ハッとしたのは、よくわからないまま読み終えた、ような曖昧な記憶が残っているからかもしれない。
 
とにかく、物語は不思議などんよりとした空気の中、どんどん展開する。それが面白くてならないのだが、結末が一気にまとめられようとして、わからなくなるというか、戸惑ってしまうのだ。これ、私の読書力が低下しているからなのか???と本気で不安になってくる。いや、わかることはわかるのだけどね。ああ、読んだ人と話がしたい。読んだ人、コメントしてくれい、と願う私である。
 
ちなみに、主人公も、その従兄弟も、体のあちこちが痛んでいる。それが、テニス肘になってしまってなかなか治らない自分自身とシンクロして、それもあって、非常に面白かったのかも。
 
シンクロと言えば、ここ数ヶ月の中で、何度か海幸彦、山幸彦の話を夫としていた。私は子供の頃にこの神話を読んだことがあって、子供心になんとも納得がいかないものがあったのを覚えていて、それを夫に尋ねたりしていたのだ。で、この物語は、海彦、山彦の話なんである。そして、私が子供心に疑問に思ったようなことが、ちゃんとでてきたのである。シンクロしてるよね。

2019/8/5