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「名作うしろ読みプレミアム」斎藤美奈子 中央公論出版
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」は、誰もが知っている名作文学の書き出しである。では、同じ作品のラストはどんな文章なのか？というコンセプトで書かれた本が前作としてあって、これはその姉妹編である。本編の方もリクエストしたのに、こっちが先に来ちゃったので、読んだのだ。言われてみれば、書き出しを覚えている作品はあっても、ラストを覚えている作品は殆ど無い。ネタバレは大丈夫なのか、と不安もあるが、名作というものはラスト一行程度でその価値を減ずることはない、と読んでいてわかった。
古今東西の恋愛小説、少年少女向け小説、お伽話に歴史物、犯罪に奇譚、旅に社会に人間とあらゆるテーマの作品が取り上げられている。ラスト一行から、逆に、どんな小説なのか想像を広げるのも、また、楽しい。思ってたのと全然違ってたりしてね。
それにしても、最初の章の危険な恋愛小説群のラストを読んでいたら、いわゆる姦通小説、不倫小説ばかりじゃないの。旬だわ。って言っていいのか？かの有名な「不倫は文化である」発言も、あながち間違いではないよね。古典的な恋愛小説を一通り読んだことのある人なら、そう思っちゃうのもわからなくはない。
2016/3/9