琵琶湖 その1

琵琶湖 その1

2021年7月24日

先日、「偉大なるしゅららぼん」を読んで以来、一度は行きたいと思っていた竹生島に行ってきました。

出発は朝七時前です。朝練に行くおちびより少し早めに家を出ます。ちゃんと鍵を閉めて、電気も全部消してね、とおちびに頼みます。「それ、私が出る直前にもう一回言ってね」ですと。いや、今、出ちゃうから言ってるんだよ!!

梅田からJR 大阪に出て、新快速に乗ります。後ろ四両は途中で切り離して湖西線になります、ってんで、ちょっと不安に。湖西線では目的地に行けません。どこまでが後ろ四両なのか、わからないんだもの、どうしましょう。新大阪を過ぎると一気に空いて、座れました。ぐうぐう眠って、気がついたら、米原着。あら、じゃあ、後ろ四両じゃなかったのね。よかった。って、なんてのんきなのかしら、私たち。

ホームに降りたら、小学生の遠足らしき一団がいて、おお、これはやかましそう・・・と、一瞬、思いますが、どうやら行き先は違うみたい。ホームを替えて、敦賀行きの各駅停車に乗り換えます。敦賀行きか・・・遠い場所だと思ってたんだけど、近いなあ。ふと、滋賀県知事が原発視察に行っていたニュースを思い出します。

電車は二両編成。ホームに止まっているので乗り込んだけれど、20分以上、待たされます。ドアは自動じゃないので、自分で開けてね、と車内放送が。うーん、のどかだなあ。やっと電車が動き出し、三駅ほどで、長浜につきます。

駅前には全然人気がありません。いったい、これでちゃんと船が出るのかしら、観光地なのかしら、と不安になりながら、港を目指します。道路は立派だけれど、車通りもあんまりないし。と、思ったら、大きな湖が目に飛び込んできました。琵琶湖です。大きいなあ。船着場があって、待合の建物が建っています。中に入ったら、十数人、人がいて、あらよかった、うちだけじゃなかったんだわ、と思います。

受付で予約していた旨を言って、チケットを買います。パンフレットを貰って、出発を待ちます。

「お母さん、車椅子は長いですか?」
と大きな声がしました。車椅子の老婦人がいて、その人に声をかけているお年寄りです。
「ええ、まあ去年からですかねえ。」
「諦めちゃいけませんよ。私はねえ、事故にあって、二週間、車椅子の生活をしましたが、そこから立ち直って、日本中を歩いて旅をしています。◯◯新聞にも、☓☓新聞にも載りました。」
と、大声で威張っています。
「ここの郷土館にも、私の記念色紙をおいてもらえるといいんですがねえ」
などとひとしきり、威張り終わったあとに、受付の人に、電話帳を借りています。職業別じゃダメだから、氏名順ね、と交換したりして、
「駄目だ、ここにも載ってない・・・。いや、ここの名物の焼き鯖そうめんを食べようと、『よかろ』って店を探してるんだが・・・」
「あ、それならわかりますよ」
と受付の人が、親切に地図を渡していました。どうやら漢字が予想と違っていて、見つからなかったようです。
「その店に、我々も行こうと思ってたんだよ」
と夫が耳元でささやきます。そうなのか。

白髪、白髭のそのお年寄りは、舟には乗って来ませんでした。焼き鯖そうめんを食べに行ったのかな。威張って注文している姿が、なんとなく想像できて、おかしくなりました。

喉が渇いたので、自動販売機を探していたら、出港の時間が来ました。慌ててお茶を買って乗船します。今日は風と波が強いので、一階席だけだそうです。帰りの舟の時間を守らないと、天候によっては欠航しちゃうかもよ、と脅かされてどきどきします。揺れるかなあ。酔ったらどうしよう。
「考えちゃダメなんだよ、そういうことは。」
と夫に言われて、心配するのをやめることにします。高校の修学旅行でむちゃくちゃに揺れるフェリーに乗って、地獄のような目にあって以来、船酔いは恐怖なのです。

舟が出発します。それにしても琵琶湖って広い。天候のせいか、対岸が霞んでいます。遠く空高くに山が青く陽炎のように見えて、とても綺麗。舟はとても早く、波を蹴立てて走ります。揺れるけど、酔いはしないみたい。よかった。

水辺を、鳥が二羽、前になり後ろになり低く飛んでいくのが見えます。鳶の声が聞こえます。湖の向こうに、大きな人影が!観音像でしょうか。ウルトラマンの後ろ姿みたいに見えます。あれが歩き出したらすごいだろうなあ。

船室前方テレビ画面では、琵琶湖についてい、あれこれレクチャーしてくれています。浅井家の由来や、淀君ら三姉妹との縁、平経正の琵琶の話など。それにしても、秀頼の本当の父親は誰だったんだろうね、なんて我々は言い合います。大野忠長って説が有力らしいけど。片桐旦元だったかもしれないし、まあ、何にせよ、秀吉じゃなかったんだろうねえ、なんて話します。見つかったら即座に殺されただろうに、淀君、大胆だったのね。ってか、命がけで、天下を手中に収めようとしたんだろうなあ。

前方に、竹生島の姿が見えてきました。あれ、ひょっこりひょうたん島だねえ、と夫。本当に、ひょっこりひょうたん島そっくりの形です。こんな所にいたのか。いや、確かモデルは東北の島だったはずだけど。

なんて言っている内に、到着です。上陸したら、すぐに入島料と拝観料を払うんですって、どうせ降りたら必ず払うんだから、乗船料とコミにしてくれたらいいのに、とブツブツ言ってしまいました。

2012/5/16