直島へ 5

直島へ 5

2021年7月24日

荷物をまとめて、すごく贅沢な気分を味わえたホテルを後にする。今日も天気が素晴らしくいい。

バスに乗り込む。今日は本村という島の反対側にある家プロジェクトを見に行く。まず、案内所へ行って、チケット購入。そこで、あらかじめ予約してあった「きんざ」の券も受け取る。

「きんざ」は予約制で、ひとりずつ、それも15分間ずつ鑑賞できるというものだ。一体何があるのか全然知らないまま、まず、私がいく。案内人が、入り方、中での過ごし方、触ってはいけないもの、入ってはいけない場所などを説明して、小さな戸を開け、中に入れてくれる。

ふーむ。写真も禁止だし、中に何があったか書くのも野暮だけれど。15分は保たなくて10分で出てきたけど、結構楽しんだ。それから、夫と交代して、私は 「碁会所」というところへ。これは、本物とレプリカを左右対称においてある場所。朴の木で作った、本物そっくりの椿とか、竹の置物とか。えーっと、何のた めに?と尋ねるのは野暮なんでしょうねえ。なんか、笑っちゃった。

それから、角屋というプロジェクトへ。猫が門のところに乗っかっている。降りられないのかと思ったら、そこがお気に入りなんですって。案内のおじさんが、笑いながら教えてくれた。


角屋も写真禁止。暗いけれど、水があるので落っこちないようにね、と注意を受けるので少し緊張する。なるほど、気をつけないと落っこちそうだった。

そこから、ANDOU MUSEUMへ。ここも古民家を再生している。安藤忠雄の今までの作品のスケッチや模型、それに直島でどんなことをしてきたかなどが展示されていた。


次は南寺。ここは15分おきに見学できるというので、近くの公園で暫く待つ。暑いわー。時間になったので行くと他に人がいないからと、我々二人だけで中へ。

ここで何があったかを書いていいんだか、悪いんだか。何が起きるかわからないのが現代アートの面白さだからネタバレしちゃダメかもね~。ちょっとだけ教えてあげると、ここで、久々に本当の真っ暗闇というもの に出会ったのでした。怖い感覚もあったけれど、夫がばたばたと扇子を扇いでいる音がずっと聞こえて、不思議な安心感があった。まあ、この人と一緒なら怖い こともないわねー、なんて思えた空間なのでした。あはは。

そこから護王神社へ。ボロボロになっていた氏神様をプロジェクトとして再建したものだという。ガラスの階段が美しい。ここは、地下に潜って懐中電灯を持って内部を見学させてくれた。


疲れたので、近くのカフェでかき氷を食べる。冷たいものを食べると、体が生き返るようだわ。よし、もうひと頑張り。というわけで、今度は「はいしゃ」へ。かつて歯医者だった廃屋を大竹伸朗さんが作品として再生したもの。


これがね~、中へ入ってびっくりだったんですよ。行く人がいるかもしれないから、言わないほうがいいのかな。え?こんなところに?っていうものがあって、笑っちゃった。

もうすっかり疲れたので、そこからちょっと洒落てそうなカフェまで歩いて、そこでひよこ豆とレンズ豆のカレーで昼食。あー、暑くて死にそうだわ。

というわけで、食後は町営銭湯「I♡湯」へ。ここがまた、すごいアートなのでした。


長いな・・・とちょっと嫌そうな夫に一時間ね、とお願いして女湯へ。外人さんの親子が入っていて、お嬢さんの方は反抗期なのか、風呂なんて入りたくないのに、という素振り、小声で言い争っていて、おお、世界中どこへ行っても反抗期はめんどくさいのね、と笑ってしまう。

中へ入ったはいいけど、タオルは持ってるけど、石鹸もシャンプーもなかったのだわ。そうか、ホテルじゃないから備え付けてないんだ・・・と戸惑っていた ら、先に入っていた地元のおばちゃんが、「使う?貸してあげるよ。」とご親切にも声をかけてくださった。毎日のように来ていて、なんにも持ってない旅行者 には時々貸してあげてるんだから、気にしないでね、って、本当にありがとう。おかげさまで、とってもさっぱりできました。

洗い場の水場の下は壁が少し引っ込んでいて、使っている間は気が付かなかったのだけれど、湯船に入ると、そこがちょうど目の高さ。カランごとに漢字二字熟語が書いてある。「欲望」だの「情事」だの。私の使ってた場所は「雌犬」だった。そうか。雌犬だったのか。

男湯と女湯の仕切りには、巨大な象が乗っかっている。湯船の底はサイケな模様。写真撮れないの、残念だわ。

大満足で出てきたら、待ちくたびれてゲームをやっていたという夫。ごめんね。そこから港へ行って、生ビールで乾杯しました。あー、うまい!!

そうそう。銭湯へ行くのに、またまたBenesseバスに乗ったのだけれど、そこで乗り合わせた外国人がとんでもないイケメンで。ブラッドとかピットとかいうお名前でしょうか、とお尋ねしたいほど。それほどパッとしないご婦人と二人連れでいらっしゃいました。どうやら海外の旅行雑誌に「死ぬまでに行きたいところ」の一つとして直島が紹介されたことがあるらしく、国内よりも海外で人気が高いみたい。

フェリーに乗って、高松へ。高松の街はすぐそこに見えるのに、一時間かかるのね。退屈した子どもたちが走り回っている。瀬戸内海は、島に島が折り重なっ て、遠くがぼんやり緑に霞んで、今まで知っていた海とはまた違った美しさ。遠い昔、イザナギ・イザナミが、海を鉾でぐるぐるかき回して、ぽとっと落として 島を作ったという絵本を読んだことを思い出す。あの挿絵が、ちょうどこんなだったなあ。

高松の港のすぐ近くのホテルにチェックイン。送った荷物も届いて、良かった、良かった。疲れたのでホテル内のレストランで夕食をとって、この日も早々とおやすみなさい。
2014/8/12