19 光浦靖子 文芸春秋
光浦靖子は、今、カナダ留学中のはず。お笑い芸人なんだけど、結構、知的でシニカルで自分を持っていて、絶対に譲らない部分がある。なかなかいい女、だと思う。
前から手芸が好きな人だとは知っていたけれど、この本を見て驚いたね。椿鬼奴や森三中、タンポポなどの芸人仲間の似顔ブローチの完成度の高さと言ったら。そして、一つ一つのブローチに添えられた文章の鋭さと温かさと言ったら。参りました。
最初にテレビ番組で依頼されて作ったのが相方の大久保佳代子さんの似顔ブローチ。それから、火がついて、どんどん作りました。芸人だけじゃなくて、メルケルとかカマラ・ハリスなんかの女性政治家のラインナップもセンスがいい。土井たか子さんなんて50代、60代、70代と作っている。どれも怒っているのね。
月うさぎ、餅ハムスターなどのかわいらしい路線も、どこかちょっと不思議なエッセンスがあって。そのうち、ついに作り出しました、マスクブローチ。ライオンや豚やパンダや鹿が、マスクの真ん中にドーンと鎮座ましまして、これ以上個性的なマスクはないね。ステキ。
ただものではない人だと思っていたが、やはりただものではなかった。芸術家である、光浦靖子。