角野栄子さんと子どもの本の話をしよう

角野栄子さんと子どもの本の話をしよう

2021年7月24日

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「角野栄子さんと子どもの本の話をしよう」

角野栄子 高楼方子 富安陽子 金原瑞人ひこ・田中
令丈ヒロ子 あべ弘士 種村弘
講談社

おはないでてこいさんから教えていただいた本。おはなしでてこいさん、ありがとうございました。

JBBY〈一般社団法人日本国際児童図書評議会)の創立40週年を記念し、作家・角野栄子氏を中心に四回にわたって行われた連続鼎談「子どもの本のこれからー未来への贈りもの」を加筆編集した本。参加者が面白い人達ばかりで、そして、知らなかったんだけど、角野栄子さんってものすごく面白い人で、そのおかげでやたらと楽しい鼎談に出来上がっている。

鼎談は角野さんを含めた三人ずつで行われた。参加者は、最初に三つの自己紹介をするのだけれど、そのうち二つは嘘で、一つだけ本当のことを言っている。どれが本当だかを、残りの二人が当てっこするという導入がお約束。これがとても面白い。とりわけあべ弘士なんて、それだけでいくらでも聞いていたくなるような自己紹介だ。また、どれが本当かを当てる残り二人の推理も興味深い。

子どもの本の話だとか、未来への贈りものだとかは確かにそうなんだけど、結局、この人たちは、自分が楽しいこと、ワクワクする事をいつも探している。苦労もいっぱいしているけれど、最終的に「よかったあ!!」って思えることを目指しているんだな、と思った。子どもの本を書く資質って、たぶん、そういうことだ。最終的なこの世への信頼感。そういうものを持ち合わせていないと書けないんだろうと思う。自分のことを話すことと、子どもの本について語ることが、ごく自然につながっている。そうでなくちゃね。

ここに登場した人たちは豪華なキャストだと言われていたけれど、私は一冊も読んだことがない人もいたりして、不勉強というか、機会がなかったというか。種村さんはなんでいるんだろうなあ、なんてちょっと思ったりして。いや、好きだからいいけど。

ついつい自分の子ども時代に読んだ本ばかりに固執していたけれど、もっと新しい子どもの本も読んでみたい、読んでみようかな、と思える一冊だった。それにしても、角野栄子さんの豪快なお人柄に触れられただけでも、意義ある一冊だったわ。

2016/8/9