豆つぶほどの小さないぬ

豆つぶほどの小さないぬ

2021年7月24日

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「豆つぶほどの小さないぬ」佐藤さとる 講談社

今月の図書館の読書会テーマは佐藤さとるである。我が家の本棚に眠っていた昭和47年発行のこの本の埃を払って久しぶりに読み返した。

「だれも知らない小さな国」の感想でも書いたが、コロボックルの世界は少しも色あせていない。マメイヌという小さな動物を探す物語なのだが、捜索の過程とそこに織りなす人間模様と、小さな恋愛ストーリーがうまく重なり合って、ずっとわくわく読み進められる。ちょっとした危機や冒険もある、当時の社会環境も登場する。でも、ちっとも古臭くない。

「きみはいい子だ。りこうで、元気で、働きもので、おまけに、魔女で詩人だ。だから大すきだ。」

小さな世界が奥深く広がる喜び、誰かを大好きだと気がつく感動。新聞を作る楽しみなんかも相まって、なんてよくできたお話なのだろうとつくづく思う。これからも読み継がれて行く物語だろう。

(引用は「豆つぶほどの小さないぬ」佐藤さとるより)

2017/5/26