鍾馗さんを探せ!!京都の屋根の小さな守り神

鍾馗さんを探せ!!京都の屋根の小さな守り神

2021年7月24日

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「鍾馗さんを探せ!!京都の屋根の小さな守り神小沢正樹 淡交社

未読購入本消化キャンペーン最後の一冊。おお、やっと読みきれたぞ。と思ったら、既に新たな購入本が。この戦いは永遠に続くのね。ま、それは置いておいて。

鍾馗さんとは、屋根の上の祀られた、小さな守り神です。京都を中心に、近畿、東海地域に多く見られます。この本は、その鍾馗さんを探して歩いた京都散歩の記録です。たくさんの個性豊かな鍾馗さんの写真が載っていて、なかなか楽しい。

鍾馗さんは中国唐代に実在した人物だそうです。あまりに魁偉な容貌が災いして科挙に不合格となり、それを恥じて自ら命をたったというので、なんだか不吉な感じもします。が、道教において、鍾馗さんは魔除けの霊力を持つものとして信仰を集めてきたそうです。というのも、鍾馗さんの最期を哀れに思った玄宗皇帝に恩義を感じた鍾馗さんが、玄宗の夢のなかで子鬼を退治してくれたとか。

お寺はその霊力で魔物や鬼などいろいろな良くないものを跳ね返してしまいます。すると、跳ね返されたものが周りの家に入ってきてしまう。それに対向するために、周囲の家がお寺に向かって鍾馗さんを屋根に置いたそうです。京都では、それだけでなく、一般的な戸守として置かれたとも言われています。

鍾馗さんはとても小さな像なので、気を付けて見ないと見つかりません。少し上の方を見て町歩きをする必要があるけれど、そうすると本来の観光ができなくなってしまいがちです。実際に、私たちはずいぶん京都の町を歩いてきたけれど、鍾馗さんにはほとんど気が付きませんでした。

鍾馗さんを目的にして、もう一度京都の街を歩いたら、また、全然違った風景が見えるかもしれない、と思いました。ああ、京都、また行きたい。

2013/9/12