静かな炎天

静かな炎天

2021年7月24日

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「静かな炎天」若竹七海 文春文庫

「さよならの手口」に続く、女探偵 葉村晶が活躍するミステリ。7月から12月にかけて、毎月次々と事件に巻き込まれ、満身創痍となりながら解決していく。それぞれの事件は緩やかなつながりもあって、一冊としてまとまってもいる。

葉村晶と知り合ったのは彼女がまだ二十代の頃だった。そんな彼女も四十肩(五十肩?)に悩まされる歳になったのね、身につまされるわ~。最近は若いと思っていた人たちがびっくりするくらい年寄りになっていて驚くことが多いんだが、まさかミステリでまで驚くとは思わなんだ。

葉村晶は相変わらずトラブルに巻き込まれやすく、突拍子もない展開になりやすく、かつ、冴えた頭の働きにも唸る内容だ。作中にいろいろなミステリ作品が登場し、紹介され、作者のミステリ愛が垣間見えるのも楽しい。それと、食べ物の描写がなかなか優れていて、食べることが好きなひとなんだろうなーとも思う。

人が死ぬミステリが苦手な私だが、このシリーズは好き。興味のある人は「プレゼント」から読んでみることをおすすめする。

2016/10/3