空芯手帳

空芯手帳

98 八木詠美 筑摩書房

太宰治賞受賞作品。そうとは知らずに読んだ。そうか、こういう作品が評価される時代になったんだ。「逃げ恥」のドラマがヒットする時代だものね。

三十代独身OLがセクハラに腹を立てて、「私、妊娠してますから」と口から出まかせを言うお話。そのまんま、嘘をつきとおす彼女。おなかに少しずつものを詰め、残業やきつい仕事を回避し、お茶くみや片づけを男性職員がやるようになる。マタニティエアロビに通い、妊婦仲間を作り、ついには産休に入る。先に産んだ仲間の苦悩や孤独も知る。そして、仕事復帰。途中から、何が本当で何が嘘かわからなくなっていく感覚がある。

子供を産むということの意味、それが現実になったときに出会う大きな壁、絶望と幸福のないまぜになった感覚。わかる人とわからない人がいるんだろうなあ。子産みも子育ても女の仕事だから俺には関係ないぜ、と思っている男の人が読んだらどんな感想を持つのだろう。何も伝わらないのか。ばかばかしい、と思うのか。それとも。