「ネットワークでつくる放射能汚染地図」シリーズ

2021年7月24日

昨年の7月「『世界』8月号を読む その2」や同じく12月「テレビを見よう 原発を知ろう」で紹介したNHK「ETV特集」の「ネットワークでつくる放射能汚染地図」シリーズのスタッフがNHKで『厳重注意』と『注意』の処分を受けていたという。

シリーズ第一回にあたる昨年5月15日の番組は、文化庁芸術祭大賞、日本ジャーナリスト会議大賞などを受賞している。私も録画して見たが、丁寧な取材と確かな科学的根拠に基づき、重大な事実を明らかにする素晴らしい番組だった。

彼らの処分の理由は、NHKが禁じていた30キロ圏内の取材を行った事実を公表したこと、原発報道についてNHKの他部局を批判したことだという。

彼らは取材の過程で、浪江町赤宇木(あこうぎ)で、高線量を知らず取り残されている住民を発見した。スタッフがいなかったら、その人たちの避難はさらに遅れ、今よりも重大な健康被害にさらされたことだろう。

ホットスポットの存在を広く世に知らしめたのは、この番組の功績である。3月に測定した汚染の広がりを5月の放送まで許さなかったのは、NHKである。もっと早くに公表していたら、高線量被曝を逃れられた住民もいたはずだ。処分されるべきは、一体誰なのだろう?

2012/7/31