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「和食」って何? 阿古真理 ちくまプリマー新書
「小林カツ代と栗原はるみ」の阿古真理さんの本。この本にも小林カツ代さん、栗原はるみさんはもとより、ケンタロウや栗原心平も出てくるのでした。
和食はユネスコの無形文化遺産に登録されたという。で、和食ってなんなんだ?というのが本書のテーマである。日本の食の歴史が、だいたい明治維新以後、とりわけ戦後を中心に取り上げられている。
そもそも日本の食卓って、そんなに豊かなものじゃなかったという気がする。私だけか?戦前生まれの我が両親にとって最高のごちそうは天ぷらと赤飯だったし、私の小さな頃は、今みたいにバラエティに富んだ食卓ではなかった。戦前はもっとそうだっただろう。父は農家の生まれだが、野菜の煮付けばかりで、肉や魚だってめったに食べなかったと言っている。沢庵でご飯を何杯も食べればそれで十分だったらしい。
そんなところから始まって、今在では家庭の食卓も豊かである。というか、レトルトやインスタント冷凍食品ばかり並んでいる場合もありえそうだが、それでもいろいろなものを口にできる。
カレーもラーメンも和食だ。日本人は、いろいろは料理を日本人好みのアジに仕立て上げて食べるのが得意だ。和食は発展してきた。それには婦人誌や、料理場組や、給食だって一役買っている。
こういう日常の、生活上の歴史が好きだ。私達の日々の暮らしは、そのまま歴史となる。今までの歴史だって、そうやって作られてきたのだ。食べることは生きることの基本だ。この本は、それを丁寧に振り返り、解説している。
2016/9/12