かか

かか

2021年7月24日

182

「かか」宇佐見りん  河出書房新社

 

三島賞、文藝賞受賞作。でもって、この後に芥川賞も別の作品で受賞。作者はまだ大学生なんだって。
 
「かか」はおかあさんのこと。「うーちゃん」というのが自分=主人公のことで、「おまい」は弟のことらしい。全体に、方言というか独特の言葉で流れるようにどんどん、どんどん語られるので、ついていくのがけっこう大変。この怒涛の文体が、若い女性の揺れる心を表している、と言われればたしかにそうかもしれない、私だって覚えはある。が、読みにくい、と言ってしまえばそれまでだ、とも言える。
 
アルコール依存症や母と子の関係性の問題は、今やもうそこここにあふれている。親子間の愛情の問題は普遍的なものだし、依存症だって、アルコールに関わらず、薬物、ネット、スマホ、ゲーム、あるいは買い物などなど、様々なジャンルにあふれていて、誰にとっても無縁ではない。だから、この作品があらゆる層を掴むことは、わかる。
 
でも、疲れた。三島賞でも文藝賞でも芥川賞でも、賞をとったと聞いただけでちょっと怯む私である。こういうことになるんだよなあ、と思ってしまう。自分の読解力不足を棚に上げて申しますが、もう少し、読みやすくあってほしい、とどうしても思う。相性の問題なんだろうけれど。
 
もう少し整理された小説を読みたい、と思ってしまった。

2021/3/24