どうしても嫌いな人

2021年7月24日

86
「どうしても嫌いな人ーすーちゃんの決心」益田ミリ 幻冬舎

「週末、森で」の益田ミリさん。

三十も半ばを過ぎた女性の日常の物語。
雇われ店長のすーちゃんは、仕事場に、どうしても嫌いな人がいる。
嫌いだと思うと、その人のことばかり考えて、どんどん嫌な気持ちになってしまう。
嫌いな人の悪口を聞くと、なんだかすっとする。
嫌いな人と誰かが親しくしているのを見るだけで、嫌な気分になってしまう。
そうやって、生活が、嫌いな人への気持ちで満ち溢れてしまって、苦しくなって、すーちゃんは、ある決心を固める・・・。

悪い人っていうわけじゃない、。
それぞれに、言い分はあるし、何が正しいというわけでもないだろう。
でも。

私も、結婚したての頃、夫の転勤先で、とある仕事場に入り、そこで、「どうしても嫌いな人」に出会ったことがある。
気にしなければいい、見過ごせばいい、聞き流せばいい。
とう思うのに、その人を嫌いだという思いが、どんどん膨れていってしまって、自分が黒い塊になっていくような気がしたのを覚えている。
負の感情に支配されると、なかなか抜け出せないものだなあ、と我ながら感心したのだっけ。
幸か不幸か、夫の転勤が決まって、私はその職場を離れた。
ひどく解放された気持ちになったことを覚えている。

そういえば、このごろは、「どうしても嫌いな人」に出会うこともなくなったなあ。

2012/8/19