オニババ化する女たち

オニババ化する女たち

2021年7月24日

「オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す」三砂ちづる

わちゃー。言っちゃってるなあ、って思いました。はらはらします。この人は、どこまで自分の言葉がどう受け取られるかわかってかいてるんだろうか、確信犯なんだろうか。

わかるんですよ。言いたいことは、とっても。そうなんだろうな、と共感する部分はいくつもある。でも、これはない、こんな書き方はないよな、と思う部分も、反感持たずにいられない!という部分も多い。「失礼な書き方だけど」「誤解されそうだけど」という言い回しが多々あって、ほんとに失礼だったり、誤解を呼ぶ内容だな、と。

月経の経血は、本人の意思で止められるんだ、って話にやけにこだわってらっしゃる。そりゃあ、自分の体と向き合うのは大事だと思います。だけど、それと、経血のコントロールがイコールだとは思わない。若いころから訓練してコントロールせよ、といわれても・・質のいいナプキンを使用して、月経中であることを忘れられるのなら、そのほうがありがたい、と率直に思います、私は。ずっと意識して気をつけ続けることで、そんなに多くのものが得られるのかな?

そりゃ早めに結婚して早めに子どもを生んだ方が、生物的にはいいのかもしれません。でも、現代社会で、この環境で、私たちは生きているのだから。子を産むだけが女の使命ではない、と私は、はっきり思う。生むことで得られることは、たくさんたくさんあるし、私はそれを選んでとても幸せだったけど。そうじゃない生き方も、あったと思うし、それを選ばないことで失った物だってあったと思うし。

簡単に粗筋をまとめちゃうと、とんでもない本になっちゃうんですよ。パートナー選びに贅沢は言うな、とにかくさっさと結婚して子どもを生め、とりわけ他に何の取りえもない女は、早々に子どもを生むのが一番だよ、とか、妾でもいいからパートナーを得て子どもを生め、とか、月経は本人の心がけ次第でコントロールできる、とか、不妊は本人がリラックスしてないことに問題がある、とか。それで、結婚も出産もしないで年を取った女はオニババ化する、とまで言われたら、そりゃあ、いくらなんでも・・・。

でもね。よく読むと、大事なことはいろいろ書いてあるんですよ。わかる。お産の話なんて、とってもわかる。自分が生むんだという気持。安心できるお産。病院まかせでない、良いお産が大事だってのは、ものすごくわかる。女性が自分の身体性を大事にして、もっと自分の体と向き合って生きていけたらいいな、って私も思う。経済効率だけ考えると取り落とす部分がたくさんある、ってことは、本当に、心から共感する。

でも。やっぱり、短絡的だと思う。子どもは産みさえすればいいのか。どんなにサポート体制を整えても、母親が自分で望んで、納得して気持ちよく産み育てていくために、パートナーも大事だし、自分の人生にある程度納得する必要もあるし、早けりゃいいんだ、とは全然思わない。不妊で苦しんでる人が、この本を読んだから、すげー頭にくるだろうって思う。一人でがんばって生きてきた女性は、悲しくなるだろうと思う。そういうことまでちゃんと考えて、この人は書いているのかな?学者の無邪気さで書いてるんじゃないかな?と思ったりもする。

あーわかるわかる。と思うだけに、辛い部分も多い本なのでした。だって、ねえ。子どもを生む、ってことが、どれだけ女性の一生にとって大きな問題か、それがどんなに切実な問題か。もっとデリケートな扱いが必要でしょう?

2008/2/11