ダンシング・ガールズ

ダンシング・ガールズ

170 マーガレット・アトウッド 白水社

七編を集めた短編集。一つ一つは短い小説なのだから、あっという間に読めるかと思ったら、全然そうじゃなかった。重い。いや、重いというより濃いと言えばいいのか。じゃないなあ、苦しい、というのは違うし。とあれこれ思い悩むような内容である。

違和感がある、というのが一番近いのかな。自分の中にもある重苦しい部分、普段はあんまり見ないようにしているような部分がクローズアップされるような、でも決して私の中にはないような冷静で冷淡な感情も入り混じっていて、いつも気持ちのどこかをこすられているような感覚の本であった。

だからよくないと言っているのではないよ。だから、読み止められない。同じ作者の「侍女の物語」もそうだったけれど、重苦しいと思いながらもどこか美しくどこか爽快でもあって、こんな作品、ほかにないかも…と思った。

年が明けたら、私、結構たくさん飛行機に乗る予定なのだが、旅行ライターの乗った飛行機が墜落する「旅行記事」という物語がリアルでありながらあまりに冷静で、むしろどこかおかしく、心に引っかかってしまった。飛行機に乗るとき、きっと思い出すだろうなあ(苦笑)。