リトルガールズ

リトルガールズ

2021年7月24日

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「リトルガールズ」錦見映理子 筑摩書房

 

太宰治賞受賞作。中年独身のブスの家庭科教師が、ある日突然ピンクの服を着始めるところから始まる。芸術のことしか考えられない美術講師が、美術準備室でヌードデッサンを始めたり、中学生女子がレズに目覚めたり、中学生男子が手芸にはまったり、血の繋がりのない子を生んだ妻を激烈に愛し続ける夫がいたり。
 
いろんな変な人間がいっぱい出てくるが、どれもが自然で当たり前だ。実際、私の身の回りを見回しても、明らかなる凡人というのは少なくて、大抵、誰もがそれぞれに個性的で、ちょっとずつ変だ。そして、変人が、私はいつも大好きだ。
 
中年過ぎて、人にどう言われようと、思い切り好きな服を着ようと思う家庭科の先生の気持はよく分かる。ひと目を気にしておとなしくしていてもつまんない。人生の残りの時間を意識し始めると、余計そういう気持ちになる。やりたいことをやりきって生きなきゃもったいない。
 
ブスの大崎先生は、とても魅力的。みんな、大崎先生みたいに生きようぜ。

2019/3/4