166 小野不由美 講談社X文庫
「東の海神西の滄海」に続き、十二国記シリーズを読んでいる。今回は「月の影影の海」で景王となった陽子と、目の前で父王を殺された祥瓊、陽子と同じく蓬莱から流されてきた海客である鈴の三人が主人公である。自分の苦難の立場を何とかするために旅をし、大切な人を失ったり、襲われたり、ひどい目に遭いながら、ついに三人は出会う。そして王として何をなすべきか迷い続けていた陽子はとうとう自分なりの国の治め方を見つける。
登場人物が多く、であるから背景もそれぞれに複雑で、なかなか読み続けるのが困難であった。メモかなんか取りながら読んだ方がわかりやすかったかも。でも、あちこちで共感できる部分があった。
たとえば、鈴が自分の主人であった人についてこんなことをいう。
「いまから考えると、どうしてそんなことをするんだ、って文句を言えばよかったと思う。でも、ご主人様の機嫌をそこねると、ひどいことを言われたり、つらい仕事を命じられるから、それが怖くて黙ってた。黙って我慢してて、そうしてる間にね、どんどん怖くなるんだよね。(中略)」
「我慢してないと、我慢してないことが怖くなる。いまがどんなに辛くても、我慢をやめたらもっとひどいことになりそうな気がするんだと思う‥‥」
「人間て、不幸の競争をしてしまうわね。本当は死んでしまったひとがいちばん可哀そうなのに、誰かを哀れむと負けたような気がしてしまうの。自分がいちばん可哀そうだって思うのは、自分がいちばん幸せだって思うことと同じくらい気持ちいいことなのかもしれない。自分を哀れんで、他人を怨んで、本当にいちばんやらなきゃいけないことから逃げてしまう‥‥」
(引用は「風の万里黎明の空」小野不由美 より)
さんざん悲惨な目に遭い続けてきた三人である。であるゆえに、エンディングは救いである。そこで陽子が決めた、初めての勅令はとてもすがすがしい。どんな初勅だったのか、本当はここに書きたいくらいなのだが、これから読む人に申し訳ないので、書かないでおく。ただ、私、すごーく共感したわ、とだけは書いておこう。
