129
「夜想曲集 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」 カズオ・イシグロ 早川書房
カズオ・イシグロだから、シリアスな気落ちで沈痛に読まなければ、と思っていたのだけれど、ときどき、おいおい、いいのか、それで？と思うような展開。これはもしかして、ちょっとしたお笑いなのではあるまいか。ってか笑っちゃったし、本当に。
犬の匂いの作り方とか、鍋であれこ煮たところで、ねえ。若いころの思い出を抱いたまま、気がついたら、いい歳になっていた・・・というのは他人ごとじゃないわ、私も。
それにしたって、チェロの大家って、何。ああ、ここに書いてしまいたいけどネタバレになるからやめておこう。才能を守るって、どういうことなんろうねえ・・・・。
これ、一遍一遍で、もっともっと長い物語が書けるだろうに。
カズオ・イシグロ、芸風が多彩すぎるわ。
それにしても、ミュージシャン志望だったのね。
作家になって、本当に良かった。
2012/10/21