大奥 19

大奥 19

2021年7月24日

170

「大奥 第十九巻」よしながふみ 白泉社

16年かかったのね。ついに、完結。作者にはご苦労さまでした、ありがとうございましたと申し上げたい。

赤面疱瘡という病気で男子がどんどん死んでいき、江戸幕府の将軍に女性がつくことになった、という歴史。時は流れ、疱瘡は克服され、そして幕府はついに終結を迎える。底に至るまでには、様々なドラマがあった。そこではジェンダーギャップの問題や家庭の問題、虐待のことなどなど、様々なテーマが込められていた。どんな終わり方をするかと思ったら、なんと爽やかな。美しい終わり方であった。

徳川慶喜って嫌いだったのよね。絶対イヤなやつだったに決まってる、と思ってたら、本当に嫌なやつに描かれていて、おお、よしながふみ、わかってるじゃないか、と思ったね。勝海舟のおかげで江戸城は無血開城されたけれど、戊辰戦争では多くの地が流され、多数の死傷者がでた。慶喜がちゃんとしなかったせいよね、と腹立たしい。

それにしても16年の間に時代は変わった。森の女性蔑視発言は腹立たしかったが、16年前なら文句をいう人間がいたとしても、辞任には追い込めなかったと思う。今は、彼が辞任する時代にまでは、なった。それだけでも前には進んだのだなあ、と思う。

もう一度、最初から読み直したい、と思った。みんな、読もうよ。

2021/2/28