大山崎山荘へ

先日、いきなり、明日休みが取れた、と言う夫。夫婦のデートはいつもこんな風に急に決まります。天保山でベニスと大阪の対決展?を見るか、大山崎で山荘を見るか。あれこれ悩んで、大山崎です。

考えてみたら、山崎のJRでふた駅先に、かつて住んでいたことのある私たち。なぜ、あのときに行かなかったのでしょう。近すぎて、いつでも行けると思っていたのかなあ。

大山崎山荘美術館は、緑滴る美しい場所でした。
周囲を山に囲まれて、濃淡それぞれの鮮やかな緑にあふれていて、どっしりとした建物が、それはそれは美しい風景を作り上げていました。柱が、窓が、床が、戸が、静かに落ち着いて見えます。

旧館の展示品は、陶芸家の濱田庄司さんの、骨董を中心としたコレクションでした。部屋を巡りながら、濱田さんのコレクターとしてのお楽しみに、見ている私たちが巻き込まれていくような感覚です。さまざまな時代や地域の壷、陶芸、タイル。それに、フィジーの石斧や木製の枕。あれやこれやが並んでいて、それが不思議でもなく違和感もなく、ちょっと笑ってしまうような楽しさがありました。もっと高尚な気持ちで見ればよかったのかもしれませんが、物を集めるのが好きな男の子のコレクションを見ているみたいでした。

李朝の白磁の壷が気に入った夫と、アメリカインディアンの彩文壷が気に入った私。どちらをうちの玄関に飾ってやろうかと、しばし討論が行われましたが、結局は、おちび作成の陶製の魚で現状維持の結論が。余談ですが、これは、区のセンター祭りに出品され、図工教師が「黙っておいて置けばピカソに見える」と大持ち上げしてくれたのを真に受けて、どうしても玄関に飾れとおちびが主張してやまず、引越しを期に飾ってあるものです。

陶芸の何たるかなど全くわからない私たちですが、それでも、さまざまな作品の深い味わいは見ていて楽しいものです。

M字型をしたフィジーの枕に、ほーっ、と興味を持ったら、これ、40年がかりで入手したものですって。やっと手に入って喜ぶ濱田さんの写真もあって、まあ、これが本当に嬉しそうで、笑っちゃう。まるで好きな昆虫を捕まえた時の男子の顔です。

喫茶室では、夫が蕎麦猪口のコーヒーと小皿のクッキーセット。一日十セット限定で、容器を持ち帰れます。(もちろん、お値段もするのよ。)私は、コーヒーとワインケーキ。コーヒーが丁寧に入れられていて、とてもおいしいです。ケーキは、二切れあるので、分けてあげました。

それから、安東忠雄設計の新館へ。新館は、安藤さんらしく、コンクリート打ちっぱなしの造りですが、緑の美しい環境を邪魔しないように、地中に埋められた設計です。中には、モネの睡蓮や、ルノアールの作品。展示品は少ないですが、大切に飾られています。

アンケートを書いたら、山荘の絵葉書をいただきました。それから、おちびのお土産に「モネマーカー」。ふしぎな色合いの出る、誰でもモネっぽい絵が描けるマーカーですって。

外に出て、少しはなれて山荘を眺めると、本当に見事な風景です。新館を地中に埋めたくなった気持ちもよくわかるなー、と夫。後ろには、秀吉の天王山が控えています。

それから、大阪に出て、西梅田のポンテ・ベッキオでランチ。混んでいるかと、わざわざ大阪駅あたりで電話して予約を入れたのに、結構がらがら。中年女性ばっかり食事してるなー、と夫が感心したように言っていました。ちょっとだけ飲もうか、とグラスワインを頼んだのに、お代わりしていたのは、誰でしょう。料理はどれもおいしかったけど、私の胃には多すぎて、ドルチェが余計でした。耳からパスタが出そうな気分で、帰宅。夕飯は、いつもより遅めにして、それでもげっぷが出そうな私でした。

今度は、桂離宮か姫路城に行ってみたいです。

2009/6/9