女のくせに 草分けの女性新聞記者たち

女のくせに 草分けの女性新聞記者たち

2021年7月24日

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「女のくせに 草分けの女性新聞記者たち」 江刺昭子 文化出版局

「おかあさん、『男は邪魔』なんて本を読んだから、今度は対抗して『女のくせに』なんて本を読んでるの?」と娘に尋ねられました。いえいえ、そういうつもりじゃないんです。「折口信夫の青春」で知った本荘幽蘭について調べていてたどり着いたのがこの本だったのです。

この本には、本荘幽蘭だけでなく、竹越竹代、菅野すが、竹中繁、市川房枝、山高しげりなどの草分け時代の女性新聞記者の姿が描かれています。みんな苦労していたんだなあ。スキャンダルに巻き込まれる人も多かったし、それを避けるために一切男性記者と関わらなかったり、驚いたことに、会社ではトイレにも行かなければお弁当も食べなかったという人もいます。よほど覚悟がないと続けられなかったのね。だというのに、お給料は男性の3分の1程度だったというじゃありませんか。たいへんねえ。

私の知りたかった本荘幽蘭さんは、

「才気煥発、奇才縦横、新聞記者を振出しに小説をかき、俳優になり、活弁、落語家、汁粉屋、ミルクホールー現在の喫茶店の前身、牛乳とパンを店におき、官報と数種の新聞を備えて、おもに学生を客とするー行くとしてかならざる底の婦人でありました」

と新宿中村屋の創始者妻、相馬黒光が述べているそうだ。後には遊女になろうとしたり、実際に講談師にもなったらしい。多才で情熱家で、今の時代を生きていたら、きっと名を成した人だっただろうに、生まれるのが早すぎたのかもしれません。

もう少し彼女の資料が残っているといいのだけれど、探した限りでは、この本くらいしか見つかりませんでした。どなたか、本荘幽蘭について詳しい方はいらっしゃいませんか?

(引用は「女のくせに」より)

2014/1/23