往復書簡 初恋と不倫

往復書簡 初恋と不倫

2021年7月24日

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「往復書簡 初恋と不倫」坂元裕二 リトルモア

 

どういう経緯でこれを予約したのかすら覚えておらず、作者が誰なのか、一体どんな内容なのかもわからないで読んだ。すると、これは朗読劇の脚本であった。まえがきもあとがきもなく、ただ、脚本というか、二人の人物の往復書簡だけがぽんと載せられており、最後に公演記録が小さな文字で記されていた。
 
作者はテレビドラマ「カルテット」の脚本家であった。古くは「東京ラブストーリー」、最近では「最高の離婚」も彼の手によるらしいのだが、あまりテレビドラマを見ない私が知っているのは「カルテット」のみ。そして、「カルテット」は非常に面白いドラマであった。
 
この本には「不帰の初恋、海老名SA」と「カラシニコフ不倫海峡」の二編が載っている。どちらも手紙やメール、SNS上のやり取りだけで成り立っていて、たぶん、舞台では両サイドに椅子をおいて朗読するというやり方で上演されるのだろうと想像がついた。内容は静かだがスリリングで意表を突くものであった。ネタバレしちゃうので、何も書きたくない。
 
上演記録を見たら、高橋一生と酒井若菜、風間俊介と谷村美月、真島慎之介と倉科カナで初演されているのね。おお、これは見て(聞いて)みたかった。特に、高橋一生が興味深い。朗読だけで、十分にドラマチックな展開になっただろうなあ。再演を望む。

2018/8/13