7 角田光代 メディアファクトリー
図書館で入手したのはメディアファクトリーの2003年初版本。今手に入るのは角川文庫らしい。
角田光代さんも若かったんだなー、と思った。これ、たぶん若いころに私、読んだことがある。よく覚えてないけど知ってる気がした。
誰かを好きになって、どんなに冷たくされても、どんなにひどいことされても好きなまんまで、相手の迷惑になることはしないように、少しでもその人の役に立つように、自分なんて二の次で、必死に尽くす。それって若くて自分を大事にしないでも自分が損なわれるなんてこと、気にも留めないからできるんだよな、って思う。なんだよそれ、と思うのが大人だよね。でも、この歳になると、もはやそれが馬鹿だとすら思わない。若いってすごい、とひたすら感心しちゃう。自分は絶対にできないからそう思うだけかもしれない。
主人公は、マモちゃんという男のことが大好きで、その人のためなら仕事だってほっぽりだす、なんだっていうことを聞く。マモちゃんが好きな女の子のために手に入れたい高い高いチョコレートを列に並んで買って、わざわざ届けにだって行く。帰ってくるまでアパートの周りをうろうろして待っちゃう。マモちゃんはお金も払ってくれずに、今度おごるな、と言って受け取るとすぐ帰っちゃうのに。
馬鹿な女の子だよな、と思う。相手をつけあがらせ、あしらわれ、便利に使われる。マモちゃんはかっこよくすらない。駄目なところ、いやなところ、全部ひっくるめて好きになったら、もう嫌いになれない。マモちゃんが笑ってうれしそうにしてくれるためなら、マモちゃんが好きな子と二人きりになれるように、二次会で別の男を連れ逃げさえする。どうなるんだ、と思ったらそのまんま物語は終わっちゃう。駄目だよ、角田さん。と思うが、そういうの、角田さんはそのまんま描いちゃう。もはや恋でもなく、愛でもなく、この執着をどうしたらいいのか、これが何なのかなんてどうでもよくなってる。だから、「愛がなんだ」なのだ。恐ろしい気もするが、すごいな、とも思う。
調べたら、なんと映画化されているのね。しかもヒロイン役が岸井ゆきの。これは見る価値あったかもな、と思った私。
