河辺家のホスピス絵日記 愛する命を送るとき

河辺家のホスピス絵日記 愛する命を送るとき

2021年7月24日

「河辺家のホスピス絵日記 愛する命を送るとき」河辺貴子 山崎章郎

パルティオのお友だちから、お勧めいただいた本です。どうもありがとう。

山崎章郎さんは、「病院で死ぬということ」以来、心から尊敬し信頼し続けてきました。講演を聞きに行ったこともあります。映画も観ました。この方の医師としての姿勢には、いつも頭が下がります。

この本は、河辺さんという類まれなる温かく透き通った心を持つ女性が、愛する夫を癌で看取った日々を綴った絵日記です。辛く、悲しい日々のはずなのに、温かく明るく優しい気持ちがあふれていて、救われます。亡くなった夫君も、得がたい妻に支えられ、きっと最後まで幸せだっただろうと思います。

同じように病に倒れ、治癒をあきらめねばならなくなったとしても、最後を迎えるまでの日々は、環境によって驚くほど違います。私たち夫婦は、義母を、辛い環境の中で送り出さねばならなかった。その事を、改めて悲しく申し訳なく悔しく思ってしまいます。仕方なかったことだけど。わかってはいるのだけれど。

魂はきっとある。ジュンサイの様な温かさに包まれたから、という河辺さんの言葉は、なんだか私のこともゆっくり包んでくれたようで、すぐそこにいるかもしれない義母に、ごめんね、忘れないからね、と言ってみたくなりました。

夫にも勧めました。もともと、辛気臭い本は嫌いな人ですが、あえて勧めたら、「面白かった・・でも、こまったね」とため息をついていました。きっと、ホスピスにたどり着くまでに、七転八倒したんだろうね、とも言っていました。こういう本を読んで「こまって」しまう夫の心情が、なんとなくわかるようにも思えます。

「病院で死ぬということ」と「河辺家のホスピス絵日記」は、たくさんの人に読んでほしい本です。

2008/3/11