141 小野不由美 講談社
「十二国記」が日生劇場でミュージカル上演されることになったと聞いて、夫がものすごく頑張ってくれた。演劇好きの友人から聞いてはいたが、チケット手配がこんなに大変だったとは。何度も抽選に応募してははずれ、あちこちに手を伸ばしてようやく入手できた。やれやれ、夫よ、ありがとう。
夫は十二国記ファンだが、私はそれほど入れ込んだ記憶がない。何冊かは読んだと思うが、全部は読んでいない。でも、芝居は見に行きたいし、予習のためきちんと読みかえそうと考えて「月の影 影の海」を手に取った。読み返しながら思い出した。上巻で主人公、陽子に次々に降りかかる困難があまりに辛くて、なんでこんな目に遭わなければならないんだ、とひいひい言いながら読んだ覚えがある。アマゾンのレビューに「ネズミが出るまで我慢」みたいなフレーズが載っていたが、本当にそうだ。ネズミが出たら、そこから徐々に楽しくなった(笑)。
どれだけ前に読んだのかなあ、記録も残っていない。今、読み返すと、結構ぐっとくる物語である。まだ高校生だった甥がこの本が好きだといっていたのを思い出す。当時の彼と語り合いたい。彼は学校で疎外感をもち、家庭でも安心できる居場所を持っていないように見えていたから、余計にそう思う。この物語に惹きつけられた気持ちがわかる。彼にネズミは現れたかなあ。
登場する父親も母親も友達も、ある意味ありがちなステレオタイプではある。でも、そうなんだよなあ。そして、そういう中で何とかやっていく自分のことも許せなかったりしたよなあ、と中・高時代の自分を思い出したりもする。自分の立つ位置を見つける。決断する。そんなことを教えてくれる物語である。面白かったじゃないの。シリーズの続きも読まなくちゃ。いったい私、どこまで読んでたんだろう。読み返しながら思い出そう。舞台も楽しみである。
