深夜特急6

深夜特急6

23 沢木耕太郎 新潮社

言わずと知れた紀行小説の大傑作。今回の我々の旅と場所が重なるので最終巻だけ夫が持ってきたのを拝借して読み返した。舞台はローマ、モナコ、スペイン、ポルトガルを経てパリ、ロンドン。前々回、前回の旅と今回の旅で回ったところばかりなので確かに臨場感が増す。

作者が実際に旅をしたのは1970年代だったそうだ。それから世界は変わった。スマホさえあれば、旅の経路も宿も全部わかっちゃう、予約できちゃう。当時は、実際にその場に行ってみなければ、本当に目的地までもバス路線が通っているのかどうかも分からなかったし、あるとしても、その乗り場がどこにあるか探し回って見つからないことすらあった。でも、だからこそ旅は今より刺激的だったのかもしれない。

実際にはさ。たとえスマホがあってもなお、デジタル難民の我々は、天候不良に振り回されて、おたおたしながら必死にフライト変更をしたり、宿に一日遅れて到着することを翻訳ソフトを駆使しながらよろよろメールしたりしていた。その日、行ける場所に行って、それからゆっくり宿を探すという旅の形のほうが、むしろのんびりしていたのかもしれないなあ。