男性論

男性論

2021年7月24日

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「男性論 ECCE HOME」ヤマザキマリ 文春新書

言わずと知れた「テルマエ・ロマエ」の作者、ヤマザキマリである。
テルマエにも出てきたハドリアヌスやルシウスから始まって、フェデリーコ二世、ラファエロ、いきなり水木しげるにとり・みき、安部公房に花森安治。様々な男性が論じられている。彼女の好きなタイプは、一見とりとめがなく見えるけれど、一本ラインが通っているという。

即物的で現実的な側面を持ちながら、いかにして空想・イマジネーションの部分も背負っていけるか。この二面性が魅力となって表れているひとに惹かれます。
 そしてやはり、時代の趨勢や大多数の価値観から外れている自分自身を、ウジウジ悩まないどころか、武器に変えられるひとがいい。もちろん、傍若無人、勝手わがままに自分の流儀を押しつけよという話ではありません。その時々の世論や価値観を、相対化できるというのかな。多数派にただ流されるのをよしとしない、気骨というのか。
 ボーダーレスなセンスをとことん楽しめる。
 時代の変化を敏感に読みとる直感力と、空想を具現化出来る技術を持っている。
 わたしはこれぞ「男子の魅力」と思うのです。
                        (引用は「男性論」より)

残念ながら未読なのだが、彼女は今、スティーブ・ジョブスについて描いているという。威圧的で排他的、金儲け主義・・などの悪評もある彼だが、いたずら好きで空気の読めない変人っぷりを知るにつけ、彼の魅力に引きこまれていったという。うーむ、読まなくちゃ、と思ってしまった。

2014/6/27