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「突然ノックの音が」エトガル・ケレット新潮社
「クネレルのサマーキャンプ」で知った作家。星新一みたいだと思っていたら、星新一みたいな題の本があるというので読んでみた。星新一みたいなショートショートがたっぷり入った本だった。でも、テイストは星新一とは違った。もっとシニカルでシュールだ。
願い事を3つ叶えてくれる金魚の話、航空機事故で亡くなってグアバに転生した男が死の間際に天使にした願い事の話、痔の話、などなど。奇想天外だし、それでいて大騒ぎにはならないし、不思議な味わいだ。イスラエルの作家なので、時々テロがまるで天気の話みたいにさらっと描かれたりもする。ヨーロッパから移住してきた人の複雑な気持ちが当然のように描かれたりもする。イスラエルのあるあるは、日本じゃ珍しい。
ちょっと毛色の変わった短編集を読みたいと思った人にはおすすめ。
2019/4/3