M-1

今年もM-1 グランプリが終わりました。私は第一回から全部見ているのですが、会を追うごとに、世間の認知度が上がって来て、今年は、本戦翌日に、感想を言い合う人がリアル世界にもかなりいて、うれしいやら驚くやらでした。

今年のファイナリスト(準決勝を勝ち抜き、決勝に進出した8人)は、昨年とかなりメンバーに変化があって、複数回出場はダイアン、キングコング、笑い飯の三組だけ。後は、ちゃんと見たことが無いような人たちばかりで、どうなることやら・・と少し心配でした。でも、昨年、敗者復活から勝ちあがって、そのまま優勝したサンドウィッチマン(その存在すら知らなかった・・)の例もあることだし、楽しみでもあって。

ダイアンとザ・パンチは、緊張にやられたという感じがあって、気の毒ではありましたが、ハートの強さも実力のうちですからね。モンスターエンジンも、緊張してたかな。彼らには、そこはかとない知性を私は感じます。今年は顔見世ということで、来年がんばって欲しいな。U字工事は、オーソドックスな漫才で、とても上手なんだけど、M-1のような大会では爆発力に欠けるのかも。キングコングはおとなしくて、去年のようなパッションが無いと思いました。

七大会出場している笑い飯は、もう常連です。毎年必ず勝ち残るってのは、並大抵のことではない。一緒に見ていた息子は、ひいひい言うほど笑ってましたし、彼らの芸は、ほんとにすごい。なぜ、優勝しないんだろう。審査員の得点を確認しても、最高点を入れている人が三人もいるのに。でも、それが彼らなのかもしれません。来年のラストイヤーには、ぜひ、取らせて上げたいなあ。三位から脱落したときに、西田くんが「おもてたんとちがう!」と吼えて、爆笑をさらっていましたが、あれは、魂の叫びや、と私は胸打たれてしまいました。

ナイツははなわの弟くんのいる、「やほーでしらべてみました」という間違いを重ねるネタでした。落ち着いて貫禄のある漫才で、しかも、最終戦に残るのをきちんと計算したネタ運び。音声のみで聞いていた方が、ナイツが一番面白かった、と言ってましたが、なるほど、そうかもしれません。動きがほとんど無い。反対に言うと、彼らに動きが加わったら、すごいことになるのかも。

敗者復活には、オードリーが上がってきました。名前は聞いたことがあるけど・・?程度だったのですが、顔を見たら、ああ、あの顔のでかいちょっと気持ち悪い人ね(これはお笑いの人にとって、決して悪口ではないとご理解いただきたい)、とわかりました。ネタをちゃんと見たのは初めてだったけど、これが、面白い。とっちゃんぼうやの若林くんと、やたら態度のでかい春日くんのコンビネーションがすばらしいです。たぶん、彼らを生理的に受け付けない人がいるだろうとも思いましたが、あの勢いは、ただごとではない。第一線を終わった時点でトップに立ったとき、昨年のサンドウィッチマンを思い出してわくわくしました。

でも、勝ったのはNON STYLEです。私は、彼らをまったく知らなかった。大阪で活躍していた芸人さんたちなんですね。あんなにすごい漫才が見られるとは・・。いちいち自分に反省を入れる石田くんが、おもしろくて、おもしろくて。携帯のばねストラップとか、街灯とか、後から思い出してまねしたくなる部分がたくさんちりばめられていて、止まる場所が無い。最後に優勝が決まって、石田くんが号泣しながら「俺の涙腺!!」と反省したのに、感動しちゃいました。

M-1グランプリは、芸人さんたちの戦場です。彼らは、そこに勝ち残ることを目標に、一年間がんばるのです。人を笑わせることに、ここまですべてを賭け、しのぎを削る彼らはかっこよくて美しいと、私は毎年感動します。難しいことを考えたり、社会を憂えるだけが正しくてかっこよくて目指すべきことなんじゃない。誰かを笑顔にすることを全力で人生をかけているのだって、すごく正しくてかっこよくてすばらしいことなんだと私は思います。

私は、笑っていたい。笑うことで、人生を楽しみたい。また、来年目指して、みんながんばって欲しい。ずっと、応援しています。

2008/12/27