TOKYO海月通信

TOKYO海月通信

2021年7月24日

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「TOKYO海月通信」中野翠 毎日新聞出版

「サンデー毎日」連載コラムの昨年分をまとめた本。毎年、春に新作を読む。たいてい図書館に予約を入れてから暫く待つのだが、今回は転居先の市立図書館に行ったら、書棚に置いてあるのを発見。市立図書館のほうが、県立図書館より蔵書量が多いし、利用も活発で司書さんのやる気も感じられるのだが、いかんせん、遠すぎる。通いきれるかなあ、と不安になりつつ、いっぱい借りてきちゃった。少なくとも、これらを返しには行かねばならん。

読んだばかりの「あのころ、早稲田で」の話題もよく出てくる。大学時代からの友人ゴチエー先生に蔵書進呈したら、毛糸のパンツの話題が一番受けていた、と愚痴ってあった。学生時代の友達ってそうなっちゃうのよね。だって、大抵のことは、一緒に経験しているから、思い出しはしても珍しくはない。でも、中野さんの毛糸のパンツ事情は流石にゴチエー先生、ご存じなかっただろうから。

映画「ララランド」を絶賛してある。私、飛行機内で見たけど、それ程感心してなかった。確かにダンスは圧巻だったけど、ストーリーはあんまり・・・。そうか、ダンスは大画面で見ると迫力が違うのかも。飛行機の画面は小さすぎるもんなあ。

「チャラン・ポ・ランタン」という姉妹コンビのミュージシャンが褒めてあって、知らんなあ、こんなバンド、と思って調べてみたら、おお、「逃げ恥」のオープニング曲の人たちではないか。中野翠、早くにあの人達を発見していたなんてお目が高い。あれは良かったよ、確かに。

「このハゲー」発言の豊田真由子議員について、彼女の実家が学習塾を経営していて、成績にかなりのプレッシャーをかけられる生育歴だったことに触れ、痛ましい人に見えてきた、と書いている。私も、この人はかわいそうな人だと思う。だからってあんな罵倒をするのが許されることではないけれど。人を成績とか地位とか何らかの基準によって、上下に分けて、上でなければならないとか、上の立場は下に何をやってもいいとか、そういう育て方をされると人間は苦しいよなあ、とつくづく思う。

中野さんもずいぶんお年を召されたのね。来年もまた、生きのいいコラム集を読みたい。中野さん、お元気でいらしてね!!

2018/4/25