ぼくの住まい論

ぼくの住まい論

2021年7月24日

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「ぼくの住まい論」 内田樹 新潮社

2011年2月に最終講義を聞きに行って以来ファンになってしまった内田教授です。神戸女学院大学を退官された後、道場兼ご自宅を新築されたその経緯が一冊の本になっています。土地を買い、設計者を決め、間取りを決め、材料を選び、職人に出会い、能舞台を作り、出来上がって住む。

これまで何冊か家を建てる本を読んできてわかったのは、家を作ることは、その人の生き方、あり方を問うことでもあるということです。内田先生も、この住まいを建てた経緯を書くことによって、生き方や世界の捉え方、人との関わり方を書いています。

家を建てる職人さんや、材木となる木を育てる林業家への真っ直ぐな敬意が文から伺われます。こうやって、様々な仕事に取り組む人をきちっと認め尊敬することができる、というところでも、私は内田先生を信頼出来ると感じます。

それにしても、家を建てるって大変だあ。相変わらずの社宅住まいの我々は、いつ家を建てるんだろうか。建てる日は来るんだろうか。うーむ。すべての蔵書の背表紙が眺められる作り付けの書庫のある家に、いつか住めるんだろうか・・・・。

2013/5/10