あなたの四月を知らないから

あなたの四月を知らないから

47 青山エリ 朝日新聞出版

初めましての作家。二編の小説が入っている。女性用風俗を利用する40歳近くの女性の物語と、そのセラピスト(女性用風俗で派遣される男性をそう呼ぶらしい)の物語。今東京新聞で連載中の西加奈子の小説に女性用風俗業を運営する女性が登場する。女性用風俗の想像ができなかったのだが、この小説を読んだら、なるほど、と思った。と言っても、この小説が現実を投影しているかどうかはわからないのだが。

処女で、帰りたいと思うような実家も失ってしまった39歳の女性が月に一度高級ホテルにセラピスト、宇治を呼ぶ。一千万円の貯金はたまったが、それを使うと自分の価値もなくなるような気がしている。唯一の友達ともいえる年下の後輩の女性は逆に必死にお金を食べて自分の家を買う。そこから人生が始まるかのように彼女は思っている。

セラピスト宇治は、家を出た母親に13歳の時一度だけ会いに行く。母は、一緒に行った友達を宇治だと思い込む。それを訂正しない宇治。その友達は、明日結婚する。

心の中のぼんやりとしたわだかまりを解き放つ方法。生きていくための働き方。生きる場所。そんなものを追い求める物語なのかも。人間に心があるってのは、めんどくさいことだが、だからこそ生きることはみずみずしく美しいのかもしれないね。