どちらでもいい

どちらでもいい

142 アゴタ・クリストフ 早川書房

近所に不思議な本屋がある。新刊書も古本も扱っているし、いくつもの棚を個人にも貸し出している。その本屋さん主催の企画で、年に数回、出品者を募って古本市が開かれる。本好きの人が思い思いに本を並べて売っている。売るというか、立ち読みもOKだし、何なら本の話をそこでしてるだけでもいい。

そんな場所で買ったのがこの本。「あ、『悪童日記』のアゴタクリストフだよ。あの衝撃のエンディングの!」と私が夫に話していたら、売ってる人がにこにこ笑って「私も『悪童日記』、好きです。」と言ったので嬉しくなって買っちゃった。文庫本は二冊で500円。こんなふうについつい買っちゃうから、また本が増える(泣)。私も棚を借りて売ろうかな。いや、ほんとに今、思案中。

『悪童日記』を読んだのはもうずいぶん前だ。記録を探しても見つからないので読書記録を取り始める前だったかも。このブログに残っていたのは「文盲ーアゴタ・クリストフ自伝」だった。ハンガリーから亡命した彼女は、以後、フランス語でものを書くしかなかった。それがどんなに大変なことだったか、想像するだけで苦しくなる。

で、この「どちらでもいい」だが。すごく短い短い短編小説が集められているが、孤独と絶望とその中で生き抜く強い心と諦めと、いろんなものがないまぜになった本であった。薄いのに、読んだらとても疲れた。でも、奥底に秘められたユーモアもかすかに感じ取れて、そこがアゴタ・クリストフなのであった。