173 北大路公子 集英社
初めましての作家。なんでこの本を読むことにしたのか記憶にないが、図書館から届いたということは、何らかの書評などを参考に予約したらしい。読んだら、実に面白かった。収穫である。
年齢はよくわからんが、決して若くはない作者が病気を患って化学療法を開始するところから始まる。副作用がひどくて口の中がざらざらし、家に帰ろうにも玄関にたどり着くまでの階段がまるで登山のような苦行となる。体が重くて体感体重は四トン。食べられるものはみかんとアイスだけ。そこから出発して、化学療法を終え、体が徐々に回復していくも、今度は母が倒れ、亡くなる。諸事を片付け、手術後二年の検査を受けるところでひとまず本書は終了する。
身につまされる。私も、生きるっていろんなことが起きるよなあ、と思う日々であった。自分の健康が怪しくなるころに、親も弱っていくのだもの、いっぺんにいくつもの体と生活のケアをせねばならんのは本当に大変だ。でも、この公子さんは、いつだってどこかでそんな自分を笑いのめし、俯瞰しておちゃらけ、自虐であろうとついふざけたおしてしまう余裕を失わない。これはすごいよ。人を最後に支えるのはユーモアであり、笑いである。つくづく思う。何かを楽しむことは、強力に人を支えるものだ。
身体感覚が近いから、きっとこの人と私は年齢も近いんだと思う。ラジオ体操やっても結構大変だし、縄跳びなんてすいすいできたはずなのに、なぜかうまくいかない。わかるよ、わかる。知ってる自分と本当の自分の乖離。それが老化というものだよなあ(しみじみ)。
とりあえず術後二年の検査の結果は良好で、キミコさんの「養生日記」は終了となった。でも人生はこれからも続く。この人の日記を、これからも読んでみたい、と思った私である。
