20 前野ウルド浩太郎 光文社
副題は「恋愛と婚活の失敗学」である。「バッタを倒しにアフリカへ」のウルドさん、実は婚活に励んで失敗しまくっていたらしい(笑)。これはその実践記録と分析、反省の書である。研究者らしく筋道立てて論理が展開されている。が、なんだこれ、なのである。あんなにしっかりした研究をなさるお方が、自分の恋愛やら婚活となるとここまでダメダメかね、と笑えてくる。いや、笑っちゃ駄目なんだろうけれど。
婚活サイトに登録したり、婚活パーティに参加したり、ついには自分専用の婚活の集いを開いてしまったり。ああ、だのに40歳過ぎてなお、結婚相手は見つからないままである。自分の何が、どこがいけなかったのか教えてほしい、連絡先はこちら、とまで書いてある。失敗の原因をしっかり分析するために過去の恋愛遍歴などもわりに率直に書いてある。
ところで、婚活の途中で本人も気づいたらしいのだが、この人、なんで結婚したいんだろう、と読む側も不思議になって来る。そもそも結婚とは何か。彼はゼクシイなどを読み込んで丁寧に研究しているのだが、それって「結婚に至るまで」のストーリーだよね。でも、結婚って、その後、延々と人生の終わりまで(おそらく)続くんだよね。相手を見つけて、籍を入れたら、はいおしまい、じゃなくて、そこからがスタートなんだよね。わかっているつもりなんだろうけど、わかってないんじゃないかな。そう思えてならない。
気に入ってもらえるために、相手の趣味をリサーチして、事前にある程度の会話の内容を準備したりして。たとえその場で気に入ってもらったとしても、その後の人生、ずーっと常に事前準備を行い続けることなんて絶対できないからね。気持ちを前のめりに話すと引かれてしまうだろうからどれくらい言えばいいんだろう、とか気にしてるけど、前のめりになってるのなら、そういう自分をそのまんま見せて、それでもいいと思ってくれる人じゃないと続かないんじゃないかな。学生時代に、恋愛上手のともだちに、いいムードになったら、部屋を暗くして黙って抱きしめればイチコロさ、なんて習ってしまったウルドさん。彼女を部屋に招待してすごく話が弾んで楽しい餃子作りでワイワイやってたのに、ここだ、と暗くして抱きしめたら変な空気になってさっさと帰られて、それっきりって。そりゃそうでしょう。後に、その子に再会したら、彼女、ウルドさんのこと大好きだったのに、あんなことされて、この人誰にでもこんなことしてるんだわ、とすっかり引かれたと判明したんだって。
ウルドさん。人に習ったことをそのまんま実行したって駄目なんだよね。相手が今、何を考えているのかをよく観察し、わからなければ率直に言葉で尋ねて、わかり合おうという姿勢がなくちゃ、恋愛なんて続かないよ。自分が何を思っているかを隠して気に入られたってしょうがないし、相手が何を思っているかを勝手に決めつけないで、ちゃんと聞かなきゃだめだよね。
私が一番思ったのは、正直に、本当の自分で居続ける勇気と、相手の本当の気持ちを常に知ろうとする勇気がないとだめだよね、ということだ。結婚って、ありのままの人間同士の生活なんだからさあ。
それにしてもなんで結婚したいのだろう。本を一冊読み通しても、今ひとつそこが伝わってこない。そもそも結婚って「結婚がしたい」と思って相手を探すものなんだろうか。この人とずっと一緒にいたいと思ってから、そのための手段として結婚を選ぶんじゃないんだろうか。私は自分がそうだったから、結婚が目的で相手を探すという行動がよくわからない。もっと上の人がいるかも知れない、なんて表現が出てきたけど、そういう発想が出てくる時点で、なんか違うんじゃないかと思える。条件とか人間性とか容貌とか、そりゃもっと上等な人は世の中にはたくさんいるでしょうよ。でも、そんなことどうでもよくって、私はこの人じゃないと嫌なんだ、この人なら多少欠点があろうと問題があろうときっと一緒にやっていける、と思えたから結婚するんじゃないか。
私、おかしなこと言ってます?ウルドさん、どう思います?聞いてみたいなあ。
