82 ラテン語さん SB新書
作者は「ラテン語さん」という名前でXにラテン語のうんちくを展開している人である。ラテン語と世界史、政治、宗教、科学、現代、日本とのかかわりを説明しているのが本書である。横書きの本なので読みにくいなーと思ったが、たくさんのラテン語併記があるから、横書きじゃないとね。
「ことばの白地図を歩く」でも書いたけど、私は、細々と英語を勉強している。といっても、じゃんじゃん覚えていくような体力はすでにないので、知っている知識を掘り起こすような地道な作業の繰り返しである。英単語にも様々な法則性があって、接頭語や語尾などから何となく意味が想像できたり、共通性を見出せたりする。頭でっかちな私には、そういうある種の法則性が大きな助けになる。
この本を読むと、イタリア語、フランス語など様々な言語の根底にはラテン語があるそうで、英語にもその影響は及んでいる。いろんな言葉の根っこにあるラテン語のうんちくを読んでいると、それらの共通性が見えてきて、言語学習のモチベーションにつながる。日本で戊辰戦争のあと、薩摩の武士が会津の武士の取り調べをしようとするのに、かなりの困難があったという逸話をいきなり思い出す。同じ日本語という根底があっても、薩摩弁と会津弁には大きな相違があった。それは、ラテン語をベースにしたフランス人とイタリア人が話し合うようなものだったんじゃなかろうか。
転勤族で全国各地を住み歩き、かつ旅行しまくっている私は地名も好きである。珍しい地名を見ると、そのいわれを知りたくなって調べたりもする。イギリスのマンチェスターやウスター、チェスターなどの地名はラテン語の「城砦」から来ていたり、ドイツのケルンはラテン語の「植民地」に語源があるというのはとても興味深い。地名は歴史の痕跡なのだなあとつくづく思う。
日本でもTDLやハリーポッターのテーマパークなどにラテン語が刻まれているそうだ。私はあんまり行かないけどさ。もし、そういう場所に行って、見慣れない横文字を見つけたら、その場で検索するとラテン語の意味が分かるかもしれない。仙台に残されている支倉常長のローマ市公民権証書もラテン語記載だという。ラテン語なんて何の関係もない言語だと思っていたけれど、思わぬところにあるものだ。
巻末特別対談はヤマザキマリさん。「テルマエロマエ」もラテン語だものね。面白かった。
