動物たちは何をしゃべっているのか?

動物たちは何をしゃべっているのか?

152 山極寿一 鈴木俊貴 集英社

鳥になった研究者と、ゴリラになった研究者が、原語の進化と未来について語り合った記録。

鳥になった研究者とは、シジュウカラを研究対象として鳴き声の意味ゃ役割を調べ、鳥にも言葉があり文法があることを明らかにした鈴木俊貴氏。ゴリラになった研究者とは、京都大学の元総長で、ゴリラ研究の世界的第一人者、ゴリラの群に加わって彼らのくらしや社会の成り立ちを調べてきた山極寿一氏。

この二人の対談がこの本である。まだ若い鈴木氏と、科学者として立派な権威となっている山極氏が、それぞれの専門分野から、動物と人間の言語について、対等に、生き生きと語っている。学問や科学とは、権威や地位や年齢にかかわらず、真理に向き合う人間同士が同じ場所で交流し合える分野であることをあらためてしみじみと思う。好きなこと、興味があることを語るときの人間はとても楽しそうで魅力的だ。そして、そこで明かされる動物というもの、人間という存在についての知識は本当に面白い。

チンパンジーの短期記憶のすごさ。鳥は紫外線がみえるということ。その場、その時点ではないことを言語で語る人間という存在。人間にできて動物にできないことを研究するのは容易だが、動物にできて人間にできないことを研究するのは難しいということ。言語化することでこぼれ落ちるものがあるということ。本当に、様々な気付きがこの本にはある。

ふたりの会話は生き生きとして、そしてとても分かりやすい。章ごとにまとめが箇条書きされているので、何が書いてあったかを振り返ることができるのもありがたい。今更だけど、この本、中学生、高校生のなつやすみの感想文や自由研究にもってこいじゃないか。子どもでも興味深く最後まで読める内容であった。