図南の翼 十二国記

図南の翼 十二国記

146 小野不由美 講談社X文庫

「月の影 影の海」に続いて読み返す十二国記シリーズである。夫に言わせると、十二国記はこの本から入ると良いんだそうだ。確かに。

「月の影 影の海」は前半、主人公の陽子はずっとひどい目に遭い続けて泣き言ばかり言うしかなかった。読む方だって相当辛かった。この「図南の翼」の主人公、珠晶は自ら恭の国の王になることを目指して黄海の中心にある蓬山に向かう。ひどい目に遭うといえば陽子と同じ、というよりさらに悲惨なくらいなのだが、彼女は負けない。何しろ自ら選んだ道だし、なんといっても心の中に強い確信を持っている。だから、どうにか乗り越えるし、いつだって能天気なほどに前向きである。同行の人間はもちろん、読者だっていわばともに旅をしているのだから、この姿勢には本当に助けられる。それにしても物語の主人公になる少女というのは元気で前向きで気が強い子が多いよなあ、とちょっと思ったりもする。長くつ下のピッピみたいな感じ。ひどい目に遭っても、どこかでそれにわくわくしてしまう。

彼女の周りを固めるキャラクターも魅力的だ。主人公が自分の親に否定的な意見をもっているのも「月の影 影の海」と同じ。少女の自立と親の支配からの脱却は十二国記のテーマのひとつなんだろうか。そして少女は王になる・・・?うーむ、このシリーズ、もう少し読んでみないとなあ。何か読み違ってるだろうか、私。芝居までにはもう何冊か、読まなくては。