想い出あずかります

想い出あずかります

2021年7月24日

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「想い出あずかります」吉野万理子 新潮文庫

夫のおすすめ本。というより、もともとはキョンキョンのおすすめ本。書き忘れてたけど、「わたしのマトカ」も、「小泉京子書評集」に載っていたものだ。キョンキョン、お目が高い。

その町の岬には、子どもたちしか知らない魔法の質屋があって、想い出を質に入れることができる。でも、そこを使えるのは二十歳まで。二十歳すぎると、その質屋の存在自体を忘れちゃうのだ。

主人公は中学生の時、その質屋の存在を知る。魔法使いと仲良しになった彼女の中学、高校時代から、二十歳になるまでの物語。

主人公の彼氏になる男子が、なんとも青くさくてうんざりするのだが、逆に言うと、うんざりさせるくらいありがちというか、本当にいそうな男子なのだろうな、とあとから思う。女子同士のちょっとめんどくさい友達事情なんかも、結構なリアリティだ。

こんな質屋があったのかも。そして、私も忘れちゃったのかも。なんて想像すると、不思議で楽しい本であった。

2016/6/30