39 いとうせいこう みうらじゅん 角川書店
この二人が長いこと全国の仏像を見て回っていることは知っていた。しかし、それが三十三年の長きにわたっているとは最近まで知らなかった。少し前、ラジオでみうらじゅんが「俺、33年前の約束した待ち合わせのために三十三間堂へ行くんですよ」と言っているのを聞いた。33年後に二人ともそれを覚えていたら会おうね、と言ったはずのいとうせいこうと、すでにいろいろ打合せしてるんだそうだ。覚えているも何もないし、ほんとに来るかな、とドキドキしたりはしないんだけどねーというようなことを言っていた。
その顛末を書いたのが本書である。滋賀の長浜や関東の調布、宇都宮、東海地方の仏像も見て回って、最後が三十三間堂の例の待ち合わせ記録になるのだが、相変わらず楽しそうな二人である。みうらじゅんは、みうらじゅんを仕事としているので、仏像だけでなく、宇都宮の餃子像や長良川の鵜のぬいぐるみなどもしっかり調査している(笑)。
見仏記も長きにわたって連載され、かつテレビ番組化もされたりしてそれなりに認知されたためか、本来なら五十年に一度の御開帳の秘仏を見せてもらったり、開けてはいけない戸を「風が吹いた」と中がのぞけるほどに隙間をあけてもらったり、いろいろ厚遇されている。まるでブラタモリのタモリのようだ。
三十三間堂の待ち合わせも、どんな企画にしようか…と思い悩んでいたら、三十三間堂側から「三月三日、本当に来はります?」と連絡があったというから素晴らしい。その日は三十三間堂では別のイベントがあるのだが、それが三時三十分で終わってしまうので、じゃあ、そのあと三十分だけ開けておきますね、とありがたい申し出。三十分時点で廊下の両側に両者が待機し、三十三分ぴったりに歩み寄って廊下の真ん中で再開する、という演出となった。盛装したみうらじゅんはひざまずいて赤いバラをいとうせいこうに差し出し、号泣。いい話だ(笑)。
その時点でみうらじゅん67歳、いとうせいこう63歳。次の三十三年後の約束も交わされたそうだが、百歳近い二人、ほんとうに再会を果たせるだろうか。どうかどうか頑張ってほしい。それを私も知ることができるかどうか、相当怪しいのであるが。
