1 井上荒野 小学館
新年ですね。今年は私、おめでとうと言ってはいけない境遇なので、とりあえず、本年もよろしくお願いいたしますとだけ申し上げます。
新年一冊目が「だめになった僕」ってけっこうネガティブだな。内容も、気持ちが落ちるような出来事の連続なんだけど、最終的にはちょっと前向きになれてほっとする。井上荒野は一筋縄ではいかない。
ペンションを営みながら漫画を描く女性が主人公。彼女のSNS上に荒らしが脅迫を行っている、という極めて現代的な始まり。アルコール依存になった男が、彼女を思い続けている。彼は妻と死別し、次の恋人も亡くなっている。ああ、もう、思いっきり暗いじゃなの。
物語は、現在から一年前、四年前、八年前、十年前、十二年前、十四年前、十六年前とさかのぼり、最後にまた現在に立ち戻る。こういう流れの小説、前にも読んだ気がする。誰だっけ、何だっけ。探してもわからない(笑)。
何か困ったことが起きたとき、なんでこうなったかなあ、と考える。考えは少し前、もう少し前、そしてもっと前、という順番で進む。だから、こういう物語の進行は実は自然なのかもしれない。
それにしても、煮え切らない男ばかり登場するなあ。荒野さんの周囲にはそういう男性が多いのかしら。
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