ブラフマンの埋葬

ブラフマンの埋葬

2021年7月24日

228
「ブラフマンの埋葬」 小川洋子  講談社

小川洋子さんの物語は、いつも不思議だ。これは2004年に書かれた作品。「原稿零枚日記」より前の作品だけど、すでに様々な妄想に包まれいる小川ワールドに取り込まれてしまう。

ブラフマンというのは、主人公が裏庭で見つけた動物。その形状や生態は詳しく描かれているが、いったいブラフマンとは何者なのかは、明らかでない。それが一層、この物語の不思議さを濃く深くしている。

物語の終わりは唐突だ。唐突すぎて、どうしたらいいかわからなくなる。そこに、感情は描かれない。描かれないがゆえに、様々なことが沸き上がってくる。

小川洋子、すごいなあ。しみじみと、すごいぜ。

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毎年、3月終わりに年度を〆ます。
今年度は228冊でした。
と言っても、上下巻を一冊と数えたり、あっという間に読み(眺め)終える絵本や、簡単な漫画も一冊と数えたりで、正確ではありません。だいたい、そんなとこ、ってことで。

また、一から始めよう。

2012/3/30