家守奇譚 上下

家守奇譚 上下

31 梨木香歩 原作  近藤ようこ 漫画

この漫画の原作である梨木香歩の作品が好きだ。たぶん彼女の作品の中で一番好きだと思う。そんな大好きな作品を漫画化されて、本当に気に入るのか?と心配していたのだが、これは素晴らしい。作品世界を少しも壊さず、原作の微妙な雰囲気をそのままに描き出している。すばらしい。近藤ようこはすごい。梨木氏もこれならうれしかろう。

湖で消息を絶った友人の高堂の家を守る主人公。文章を書くことでなんとか暮らしている。部屋の掛け軸の中から、小舟に乗って時々高堂が訪ねてくる。河童やタヌキや家守、百日紅の化身なんかも登場する。怪しい不思議なものたちが、当たり前の顔をして通り過ぎていく。お隣のおばさんが、それを本当にふつうに受け止めていろいろ教えてくれる。寺の坊主も、時々狸が化けはするけれど、いろいろ知恵を授けてくれる。

夢なのか幻なのか、現実なのか。犬のゴローも不思議な世界を先導する。彼は実は立派な仲裁役として、空でも湖の底でも有名なのだ‥‥。

妖怪、魑魅魍魎…不思議なものたちが行き交う世界。フキノトウを探す小鬼がかわいい。なんと豊かな世界だろう。何度も読み返せる漫画だ。