15六角精児 筑摩書房
調べてみたら、前にもこの人のエッセイを読んだことがあった。この本は、2011年から2017年にかけて「週間現代」に連載されたエッセイの選定、再編集による書籍化である。おかっぱ頭にメガネ、ギャンブルと鉄道と音楽が好きで、離婚と結婚を何度も繰り返す役者、六角精児。「相棒」というドラマのはまり役があるそうなのだが、残念ながら私は一度も見たことがない。刑事ドラマはあんまり得意じゃないのよ。私はどっちかって言うと、この人を「タモリ俱楽部」でよくお見かけした。
題名の通り、この人はギャンブラーである。パチンコ、競輪が中心なのかな。とにかく、最初の結婚のときに家財道具を買えと親にもらった百五十万円を全部ギャンブルに注ぎ込んじゃった人である。というより、大学入学と同時に学生ローンで借りまくっていたというから筋金入りである。今は名前も知られて、仕事も増え、それなりに収入もある上、一度別れた奥さんと再婚も果たして、ある程度真っ当に暮らしておられるご様子だが、それでも読んでいると結構、まだ注ぎ込んでいる。パチンコや競輪に。
頼むから日本にカジノなんて作らないでくれと彼は書いている。ギャンブラーの切実な叫びには実感がこもってる。つまり、一度踏み込んだら、またズブズブになると、本人よくご存知なのだ。だよなー。大阪カジノ、絶対駄目!
学習院大学に入ったこの人、実は日大芸術学部と文学座養成所には合格していたが、親の反対で学習院に入った、という伝説がある。当時の文学座研究所はとんでもない狭き門で、多くの才能が集結していた場所なのだ。でも、それ嘘だったのね、と本人が作中で書いている。文学座を蹴ったと聞くと天才っぽいからね、それだけの話だったらしい。ギャンブラーは見栄っ張りでもあるのだ。
文章は読ませる。いろんなことを考えている人なのだなあとも思う。でも、私はやっぱりギャンブラーの気持ちはわからない。とんでもない額のお金を一瞬で溶かしてしまうヒリヒリ感をなぜ楽しめるのか、どうしてもわからない。元々ケチだからなあ、私。
こんなだめなやつですが、それでもなんとか生きてます、楽しんでも居ます、というエッセイなのだと思う。それはそれで面白かった。
