愛なき世界

愛なき世界

2021年7月24日

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「愛なき世界」三浦しをん 中央公論新社

日曜の夜に読みはじめて、早く寝なくちゃと思いながら読みやめられず、最後まで一気に突っ走ってしまった。やっぱり三浦しをん、すごいなあ。

T大学の門前の洋食屋の見習い調理人が、シロイヌナズナの葉っぱの研究に没頭する大学院生に恋をする話。人間よりも植物を愛しちゃってる女性に恋をするのってたいへん。

登場人物がそれぞれに個性的で愛せる人たちだ。三浦しをんの作品に出てくる人たちは、みんな純粋で一生懸命だ。とりわけ主人公の二人の若者は、呆れるほどまっすぐすぎる。だけど、私もこうありたい、と思ったりもする。

身内に大学で研究をしている者がいるのだが、大学で研究をするとは一体どういうことなのか、さっぱりわからずにいた。まあ、研究はするんだろうが、それって具体的にどんな毎日なのか?と謎であった。これを読んでやっとなんとなくわかった気がする。そうかそうか、こんな風に日々過ごしているのだなあ。

二人の恋がどうなるかは、これを読んでいただきたいのだが、誰かを好きになるということは、やっぱり素敵なことだなあ、と思う。植物を好きになることだって、素敵なことだ。好きなことや物や人が増えれば増えるほど、人生は輝くのかもしれない。

2019/3/18