戦前エキセントリックウーマン列伝

戦前エキセントリックウーマン列伝

150 平山亜沙子 左右社

「問題の女 本荘幽蘭伝」の作者の新作である。本荘幽蘭は明治12年生まれの女性。数十種の職業、50回ほどの結婚、150人ほどの交際相手がいたというびっくりな女性の評伝を書いた作者。今度は本荘幽蘭以外にもこんな女性がいたよ、とばかりに明治大正昭和を生きたエキセントリックな女性20人の生涯を描いている。

進学もできず、女性向けのろくな仕事もなく、父が決めた相手としか結婚できず、婚家では子どもを次々と生むことを求められ、家に縛られ、夫は愛人をつくり、不満を言えば「女のくせに」といわれた時代。おとなしく一生を終えることがどうしてもできず、家族に縁を切られてもチャンスをつかみ、誰に何と言われようと自分の気持ちにしたがって生きた女性たち。残された資料は当時の価値観に基づいたものばかりだから、悪女にもされ、愚か者呼ばわりされ、笑いものにされているが、その後ろから切実な思いや願いが伝わってくる。どんな覚悟が、どんな勇気が、どんな決意がそこにはあったのかと思わずにはいられない。

登場した女性たちの何人かは知っていたし、評伝を読んだことのある人もいた。ヨーロッパに渡った田中路子やバイオリニストの諏訪根自子、イタリアで絵描きとなったラグーザお玉などである。が、そのほかは初めて知った女性が多かった。犯罪者もいたし、男のために小指を落とした芸者もいた、大陸を駆け回ってスパイになった女性もいれば、鉄成金と呼ばれた実業家、「民権ばあさん」と呼ばれ女性の参政権を明治時代に主張した女性もいた。バラエティ豊かだ。こんな人たちもいたのか、もっと知られていいよなあ、とつくづく思う。おとなしいだけが日本女性ではなかったのか。だよなあ。どんなに押さえつけられても、人の心は自由だもの。何かを願ったり欲しがったりする心は止められない。

結果的に不遇に終わる女性が多かったけれど、よく頑張ったなあ、と一人一人に拍手を送りたい。