醤油と薔薇の日々

2021年7月24日

43

「醤油と薔薇の日々」小倉千加子 いそっぷ社

「草むらにハイヒール」の小倉千加子が20013年に出した本。と言っても、中身は1993年頃に書いた文章が収録されているので、30年近く前の内容になっている。が、全然色褪せないのには驚いてしまう。

「森瑤子のクリスマス」という短文には、「森瑤子の帽子」に書かれていたことの最も重要なエッセンスが込められていたし、「『父の娘』小池百合子」という文には、現在の小池百合子を予言するような内容がある。「奇妙な服装をした女たち」には、伊藤詩織さんの問題が見え隠れするし、「私のこと忘れたの?」は、アンジャッシュ渡部を思い出させる。結局のところ、女性の抱える問題というのは殆ど変わらずにずっとあり続けているのだなあ、と嘆息してしまう。

親ほど子供のことがわかっていない存在はない、というようなことを書いてある文章があったはずなのだが、読み終えて感想を書くにあたってそれを探したら全然見つからない。錯覚だったのかしら。それを読んだときに、ものすごくいろんな事を考えたのに、印をつけておけばよかった。私が思ったのは、簡単に言っちゃえば、たしかに親は子供のことを全然わかってないけれど、子だって親のことを全然わかってないよな、そういうものだよな、ということだったのだが。ま、いっか。

2020/6/29