私の身体を生きる

私の身体を生きる

110 文芸春秋

女性作家による自分の身体にまつわるリレーエッセイ。書き手は以下の17人。

島本理生、村田紗耶香、藤野可織、西加奈子、鈴木涼美、金原ひとみ、千早茜、朝吹真理子、エリイ、能町みね子、李琴峰、山下紘加、鳥飼茜、柴﨑友香、宇佐美りん、藤原麻里菜、児玉雨子。

知ってる作家も知らない作家もいた。でも、どれも読みごたえがある。女性が自分の身体を語る文章は、あまり読んだことがない。だからなのか、書き手がまっすぐに書いているものが多くて圧倒された。自分の身体が好きで、満足していて、女性でよかったわー、なんて話はひとつもない。そりゃそうだろうと思った。

性的暴力、いたずらなどに出会った話は本当につらい。そういった体験が、どんなに女性の心をずたずたに傷つけるか、仕掛ける側はひとつもわかっちゃいないとつくづく思う。そして、女性の身体の話を笑いながらすること、笑いものにすることがどんなにひどいことなのかも。お笑い界で、コンプライアンスが強化されて自由に笑いが作れないなんて不満を聞くけど、女性の身体や性のあり方を笑いものにすることになんて頼るな、と思う。そんなことでしか笑えないなら笑うな、と思う。周囲の大人たちが性的な笑い話で盛り上がっているときに、幼い子も思春期の女学生も、実はすごく損なわれていたエピソードがたくさん出てくる。出産時の会陰切開で会陰がひきつれたことを婦人科医に言ったら「パパが良ければいいんじゃないの?」と言われた話に驚愕する。妻の会陰は夫が満足すればいいのか。誰の身体なのか。

なんかすごいもの読んだな、と思う。心も体も、思い通りにはいかない。でも、この心と身体で生きていくほかはない。そういうことだ、と思った。みんな、頑張ろうぜ。