158 寺地はるな U-NEXT
「雫」以来の寺地はるな。いくつかの短編小説を寄せ集めて一つにまとめたような不思議な作品。短編集として出して、読み手が勝手にそれぞれを自分の中でつなげて読んでもいいんじゃないかとすら思うが、作者はこれを一つのものにまとめたかったんだろう。
古着屋の「好きな服さえ着られずに、なにが人生だ」という言葉が印象に残る。目立つことはするな、化粧も派手な服も、ご近所に何と言われるかわからないといわれて地味に暮らしていた祖母に孫がサーキュラースカートをプレゼントする。祖母はそれを身に着けて、くるくると舞う。スカートが丸く広がる。そこから「スカートの乱」が始まる。祖母の友達が野原に集まって、みんなで手を取り合って、きれいなスカートをはいて回転を続ける。男たちは怒り、馬鹿にし、殴られた人すらいる。だのにテレビが取材に来ると「女性が生き生きと趣味を楽しむ町」と臆面もなく話す。だが、当の女性たちは何一つ話さず、踊らない。古着屋は、その孫だった人だ。
エゴサーチばかりして否定的な評に打ちのめされる小説家、食べてもくれない夫のために夕食を作り続ける妻、結婚しろと周囲の好意あふれる圧力にうんざりする中年男、母の期待に応えられない女性。誰かに応えること、誰かにどう思われるかに振り回されることに疲れ、どうにか自分を生きようとしている人たち。寺地はるなの小説はそういう人たちに寄り添う物語だ。
本を読んでは感想をブログに挙げる主婦という登場人物がいてぎょっとする。私じゃん。娘と会話もなく、でも「いい子に育った」と自己満足に浸り、夫は帰りが遅くてご飯も食べてもらえない、でも、いつも家族のために頑張ってる(と自負している)主婦。ちょっと怖い。んー。私もそう見えるんだろうか。違うんだけどなー。なんて、私まで人目を気にする人の一員になりそう・・・・。でも、いいんだ。やりたいことをやってれば(笑)。
